2009年9月に、288号をもって休刊となったバイク雑誌、「clubman」。最終号はまた別の機会に紹介するとして、今回はごく初期の29号をとりあげる。なぜか。
実はこの29号、1989年2月号なのである。
気がつく人はわかるだろう。月刊誌では、ここまでが「昭和」。3月号からは「平成」なのだ。つまり、この号は、『昭和の編集、最終号』ということになる。
もちろん、昭和天皇のご容体が芳しくない時期だとはいえ、編集にその影響はない。普段のままの内容である。
ご存じのとおり、バイクは、80年代前半にブームを迎え、89年のこのタイミングではその余韻が強く残っていた。そうした中、小野勝司というスタイリッシュなバイク編集者がこだわりをもって発行していたのが、この「clubman」であった。
この号の特集でもわかるが、「clubman」は、レーサーレプリカとは一線を画し、シングルやツインエンジン、さらには趣味性の高い外車を中心に編集が組まれていた。
この号も、シングル・ツインエンジンのレーサーが特集されているが、今見ても、かっこよさ爆発。最近のサイボーグのようなバイクとは比べるべくもない。
当時の私は、シングルエンジンのYAMAHA/SRに乗っていたこともあり、そのエンスーとも言える編集内容に魅かれ、頻繁に購読をしていた。
とはいえ、まだ、お金もない時代。国産のSRが関の山。外車は夢のまた夢。ましてやレースに出ることなぞ、チャンスも無ければガッツもない。やがて仕事や子育てが忙しくなり、バイクからも離れ、趣味は「波乗り」という変節を遂げる。
がしかし。とあるきっかけで40代半ばで、ハーレーのスポーツターを購入。出戻りライダーとなり、これまた成り行きで、ミニバイクレースに参戦。さらには、オフロードのラリーにも出場。すっかり「趣味はバイク」になったのであった。
今思えば、89年の自分には、まさかそんな壮年期を迎えることになるとは、夢にも思わず。人間、きっかけと、ちょっとの度胸が有れば、なんとかなるもんだ。
表4のHONDAの「SPADA250」の広告に、アイルトン・セナがキャスティングされているのも、時代の象徴だろう。少しだけ陰りの見えたバイク市場。まだまだ人気のF1市場。セナは、そうした時代のアイコンであった。
そして、このころをピークとして、モータースポーツブームは坂道を転げ落ちるように凋落の一途をたどる。終わったのは昭和。でも、同時に、モータースポーツのバブルも、終焉を迎えるのであった。
国内のバイク市場。ピーク時の10分の1だそうだ。よく、崩壊せずに市場が残っているものである。他の商品なら、そうはいくまい。